2本の組紐を連結する方法
2人組で組紐の
内側耳を連結すれば2幅の組紐になる。内側耳を連結し、更に外側耳を連結す
れば筒状組紐になる。
L-M組紐技法の基本的な組み方の一つに、2畝綾織組織平組紐が2本同時に組める組み
方がある。(図1a)これは
3ループならば三つ組、5ループ使えば五つ組など、
まとめて蛇腹組と呼ばれる組紐を2本同時に組む方法である。
L-M技法では1人で扱えるループ数には限りがあるから、複数の組み手が協力してもっと多ループ数の組紐を組むこ
とが昔から行われてきた。

2人の組み手が横に並んで各自で「2畝綾織組織平組紐2本同時」を組みながら1段毎に隣接するループを交換すれ
ば、左右の組紐が繋がり上下2枚の4畝綾織
組織平組紐が同時に組める。(図1 b, c)
2-3人で協力する組み方はイギリスの古記録に見え、また古資料では平紐に限らずスダリーのインサーションのレー
ス組織
(ニュース第4
号)、フレデリックIII世の部屋着の不正規組織平組紐(ニュース第6号)、日本の中世組紐では手操作法の4段階手順(ニュース第7号)などに用いられ
た
事が調査研究により解明されている。
UO#1組紐を3本横連結して作ったフレデリックIII世の部屋着のボタン掛け紐には連結部分にできる長い「浮
き
目」を防ぐためにループに捻りが入れてあるこ
とをボウルトルプが精細な組織解析により解明した。(ニュース第6号図11)
しかし正規組織組紐の連結法では、交換の前後でループの上下糸の位置が入れ替わらないようにする。
連結した組織が滑らかに繋がるた
めに必須の条件である。
連結法が記録されているのは、第1法(組口A字型法)であるが、第2法(組口V字型法)でも同じ方式で連結でき
る。第2法による連結法が実行されていたことは、2005年にインドネシアで採録され、確証
された。
本編では3種の連結法を解説する。
1.
10ループ2人組で組紐の内側耳を連結して2幅組紐にする手順
2. 10ループ2人組で,更に組紐の外側耳も連結して筒状組紐にする手順
3. 9ループ2人組で組紐の内側耳を連結して2幅組紐にする手順
1.
内側耳の連結手順:10ループの場合(基本) (Fig. 2)

左側の組み手をLB、右側の組み手をRB、左右の手の指をそれぞれ人指し指から小指にかけて、La、Lb、Lc、Ld、Ra、Rb、Rc、Rdとし、指に
掛か
るループをla、lb、lc、ld、ra、rb、rc、rdと表記する。
ループ交換は手順の繰り返し毎に行う
隣接する組み手LBのRaとRBのLaが空き指になっている時に、Laのrb、RBのlbを交換する。
2人の内側指が空き指にならないような手順の場合には、基本の要点に従い、ループの上下糸が交換の前後で変わらないように交換する。
STEP
1 組み手LBはRaをrbの
左方から右に向けて上糸を押し上げるように挿入し、組み手RBのlaの
上糸を上から引っ掛けてとる。(RBのlaが
「開」移動LBのr1になる。)
STEP 2 RBはLaでLB
のraの下をくぐってそのrbの上糸を上から引っ掛け
てとる。(LBのrbが「開」移動でRBのlaになる。)
2. 2重組紐と旗竿柄組紐の組み方
2重組紐(covert
又はcoverte
braid、覆い隠す)とは1本の筒状組紐の中にもう1本の筒状組紐が組み込まれて蔽い隠されているものである。2色ループを使って内外の組紐をそれぞれ
異なる色で組み、時々その内外を入れ替えて段柄にしたものを、イギリスの例ではCOMPOUND(又
はcompon,
componerなど、紋章学用語で色が半ばで変わる紋章柄)と呼んでいる。ここでは旗
竿柄と呼ぶことにする。
(写真上 撮影 J.
Boutrup (C) 2005)

このデザイン構想はL-
M組紐では自然な発想であるらしく、日本には知恩院伝教大師立像納入の組紐〔鎌
倉時代)に同構想の例が見られる. (ニュース第7号参照)(写真右 撮影 木下雅子 (C) )
イギリス15世紀の記録には、角組(4畝綾織組織筒状組紐)の二重組紐と旗竿柄組紐の組み方が1項目づつ記載されているのみであるが、2005年に発見さ
れた17
世紀の印刷本セレーン本では、この構想がよほど編者の気に入ったらしく、角組以外に8
畝平綾組織と新構想の6畝平綾組織に2重組紐、旗竿柄
のデザインが多
数取り入れられている。
2重組紐の組み方の原理
2人の組み手で内側耳を横連結して4畝綾織組織平組紐を2本同時に組み、更にその両外端のループを交換すれば外側耳が繋がって2重4畝筒状組紐(2重角
組)になる。組んで
いる紐の上方でループを交換すれば、下側の平紐(図青色紐)が上の紐(図赤色紐)を包み込んだ2重紐になり(Fig.
3a)、下方で交換すれば、上の平紐(赤色紐)が下の紐(青色紐)を包み込む(Fig. 3b)。

2重組紐の内外の筒状組紐が完全に離れて、抜き出せるように組むには:
上下2本の平紐の外耳の要素がループを交換して繋ぐ時に交差しないようにする。
そのためにはループを交換の前後に下記のようにて上下糸を入れ替える。ループ交換が終わったら、ループを
再び捻ってもとの状態に戻してから次の操作に続く。
交換前の捻り方 交換後のの捻り方
上方交換の場合
左側の組み手の左手最外側ループ 時計回り 逆時計回り
右側の組み手の右手最外側ループ 逆時計回り 時計回り
下方交換の場合
左側の組み手の左手最外側ループ 逆時計回り 時計回り
右側の組み手の右手最外側ループ 時計回り 逆時計回り
適当にループの色を選べば柄物も組める。
外側耳の連結手順
組んでいる紐の上方で連結する場合(Fig. 4a)
連結に使うのははLBのla(或いは左手最外側ループ)とRBのra(或いは右手最外側ルー
プ)である。
STEP 1 LBのlaを時計回りに、RBのraを反時計回りに捻りループの上下糸を入
れ替える。
STEP 2 組んでいる紐の上方でRBのraをLBのLaに移動。(RBのRaがLBのla-2になる。同時にLBのl1がRBのla-1になる。)
STEP 3 RBはRa をLBのla-2に通してLBla-1の上糸を上から引っ掛けてとる。(LBla-1がLBla-2の中を通ってRBRa
に移動し、同時に時計回りに半転する。)
STEP 4 LBは後に残った、LBra-2を反時計回りに半転する。
組んでいる紐の操作を再開する。
組んでいる紐の下方で連結する場合(Fig. 4b)
STEP 1 LBのlaを反時計回りに、RBのraを時計回りに捻りループの上下糸を入
れ替える。
STEP 2 組んでいる紐の下方でRBのraをLBのLaに移動。(RBraがLBla-2になる。同時にLBlaがLBla-1になる。)
STEP 3 RBはra をLBla-2に通してLBla-1の下糸を下から掬い取る。(LBla-1がLBla-2の中を通ってRBRa
に移動し、同時に反時計回りに半転する。)
STEP 4 LBは後に残った、LBra-2を時計回りに半転する。
組んでいる紐の操作を再開する。
旗竿柄組紐の組み方
指操作法の平組紐を2本同時に組む手順で、P,
Q2色ループを上糸は全てP色、下糸はQ色に並ぶように持って組めば、上層にP色、下層にQ色の2枚の平組紐ができる。適当な長さになるまで2本同時を組
んだら、全てのループを1本づつ捻って上下糸の色を交換してから同じ
組み方で組み続ける。上下の色が入れ替わった平組紐が2本同時に組め
る。色の変わり
目の個所では2本の紐が繋がり2枚に分かれなくなる。
この紐を2人組で隣接耳を繋いで組めば2倍幅の平組紐2本同時にな
る。
更に左右端の外耳も繋げば、片方の紐が中に包み込まれて2重筒状紐に
なる。
適当な長さを組む毎にループを捻って上下糸を入れ替えれば旗竿柄にな
る。
2重筒状紐手法は、2畝平組紐以外の平組紐2枚同時手順に適用できる。
1. 7ループ4畝綾/平混合組織2本同時
2. 10ループ2畝綾織組織平組紐(蛇腹組)2本同時 (5ループ2畝綾織組織平組紐(蛇腹組)の2人組)
3. 14ループ4畝綾/平混合組織2本同時 (7ループ4畝綾/平混合組織2本同時の2人組)
4. 12ループ6綾/平混合組織2本同時
5ループ4畝平織組織紐はトルマッシュ本に2本同時、2幅紐を組
む手順が記載されているもので(セレーン本からは欠落)、旗竿柄が適用されていないものが
あるが、適用できない理由はない。
以上は全て指操作法2段階手順に基づく組み方であるが、2重組紐、旗竿柄組紐のアイデアは手操作法にも共通する。
3.
2人組で紐の内側耳で連結して2幅組紐を組む手順:9ループの場合
2人組を組む場合、1人組で組む時のループ数を各自が手に持って組むことは自然な発想であるが、連結された2
畝の一方の越数が1本増えるという不
整ができる。
この不整はループ数を9本(つまり、ルー
プ数
5 x 2 -1)にすることで正すことができる。指
操作法第1法、第2法に共に適用できる。
この連結法が、単に不整組織のない連結法以上の意味を持つのは、組み手数を増やして、平組紐を2本同時手順を用いれば、更に幅の広い2越、3
越の整組織綾織組織平組紐が組めるという事実である。即ち、L-M技法でも、整組織綾織組織平組紐が組めると言う事実に繋が
る。
9ループを用いる場合の内側耳の連結手順(基本)< /small>

(図5上 左側の組手が右側の組手のループの上糸をを上からら引っ掛けてとる。
下図 ループが左組手に移動。)
この方法では連結ループは交換ではなく一方から他方に移動する。5本のループを持つ組み手が手順1回組む毎に行う。
ループを移動する時には、ループを5本持つ組み手は、外側の手のa、b、内側の手のa、b、cに、もう一人の組み手は、外側の手のa、b、内側の手のb、
cにループが掛かっている。
ループを受け渡す時のループ配置(指操作第
2法の例)(右側組み手が5ループ持っている場合。左側組み手が5ループ持っている場合にはこれの左右を入れ替
えた配置になる。)
| La |
Lb |
Lc |
|
Rc |
Rb |
Ra |
|
La |
Lb |
Lc |
|
Rc |
Rb |
Ra |
| 赤 |
赤 |
|
|
赤 |
赤 |
|
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白 |
白 |
白 |
|
|
白 |
白 |
受け渡しの操作
(図 組み手のループを左組み手に移す場合。左→右の場合はこれの鏡像操作。)
左組み手がRaで右組み手のlaの上糸を上から引っ掛けてとる。(右組み手のlaが「開」で移動し、左組み手のraになる。)
ループの上下糸が移動の前後で変わらない。
|